2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

#263

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが人体実験されるか」「ちょい待て、何の実験だコラ」

#262

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが人身御供になるか」「ちょっ、何の人身御供!?」

#261

子供はみんな天使だ、と良く言うけれど。その中には時々、堕天使や悪魔が混ざっているように思えてならない。大人を困らせて喜んだり、お友達をいじめてしまったり。幸せが逃げてしまう溜め息をつかない日はないけれど、それでも。保育士の私は皆が天使にな…

#260

ひたひたと、小さな古びた書庫に響く水音。小さいながら各国から様々な書物を収蔵したここに泥棒だろうか、と司書は思った。音源を探るべく書庫内を歩き回り、見つけたのは一匹の黒猫。猫は一声鳴いて姿を消したが……尻尾が分かれていなかったか? そういえば…

#259

恋愛の形は人それぞれだ。昨今、ネット恋愛を経て結婚なんてのも珍しくなくなった。でも。「結婚おめでとう。式はいつ?」「ありがとう。もうネットで済ませちゃったわ」「婚姻届とかは?」「それもネットで」「ところで、旦那さんどこ?」「ああ、ここ」見…

#258

パシャ(以下略)様。たった今、事務局よりNG判定がでました。理由は名乗り前の肩書きが省略された為、との事です。尚、苦情は一切認めず、徹底抗戦の構えである、との事。確かにお伝え致しました。 #hourai@takesuzume氏のネタを受けて、つい書いてしまった…

#257

アスティが注がれたフルートグラスに伸ばされた指先は、熱の余韻を帯びていた。ゆっくりとした動作でグラスを唇へと運び、白い咽は嚥下するよう微かに動く。「駄目ね、熱が冷めないわ」酒精が帯びる熱と、躯が帯びる熱と。融け合うそれを感じれば、女は男へ…

#256

酒は百薬の長。酒呑みはみぃんなそう言うんだから。でもね、風邪引いた時ぐらいは大人しくしてなさいよね。は? 呑めば治る? だまらっしゃい。いいから寝てなさい。あんまりぐたぐだ言うと実力行使するわよ。ほら……大人しくしてたら卵酒くらいなら、作って…

#255

普段は黄金色をしているそのお酒は、この季節だけ、この期間だけ琥珀色に染まっていた。人は言う。その色は秋の色なのだと。人は言う。その色は切なさの色なのだと。人は言う。その色は暖かさの色なのだと。琥珀色のお酒は、今宵も人を夢へと誘う。さあ、乾…

#254

死して語る骸はなし。されどそこにひとつの言霊を与えし者あり。額に描かれし魂の言は『語』なり。魂魄、生命失われし骸は人形が如く語る。その躯に刻まれし逝き道を。情の隠らぬ言の葉はいつしか虚へ消え失せ、真を得る事能わず。故に証される──骸が語りし…

#253

「あなたって客観的に物事を見ようとも思わないのね」彼女と喧嘩をする度に言われてきた言葉。僕はすぐ感情的に、ムキになるから冷静に物事を見られない。なら、どうすればいいか──簡単な事じゃないか。僕は肉体を捨てた。彼女はどうして泣いているのだろう…

#252

彼女には野望があった。物書きとしてささやかに生計を立てていた身だが、一作ヒットを当て纏まった印税を手にした今。野望が果たされようとしていた。「ここからぜーんぶ、いただける?」「え、よろしいんですか?」彼女の野望とは、お気に入りのケーキ屋で…

#251

あるひ、もりのなか。くまさんにであいました。みがまえたら、なかれました。りゆうをきいたら、まいごだそうです。もりのまんなか、みずうみまで。おくってあげたら、ままくまがとうじょうです。なぜかごかいされたわたし、べんかいもきいてくれません。そ…

#250

はぁい、妖精です。妖精界で悪戯しすぎちゃってリストラされちゃいました。そんな訳で箱詰め妖精にジョブチェンジ……なんだけど。どこの馬の骨ともわからない相手のとこに行くのヤだなぁ。こう見えてもあたし、面食いなんだから。あ、そこの箱詰め君、あたし…

#249

近くて遠い、画面越し。触れられない距離。いつもは雄弁なまでに語る貴方が、今日はなんだか静か。どうしたの、なにかあったの──訊こうとする手が止まる。私はそこに踏み込めるの、踏み込んでいいの……不安になる。言葉だけの世界。それでも。貴方から、私だ…

#248

どうも、妖精でっす。これでも商品です売り物です。なんで商品かって? 最近妖精界も不況の波にあおられて大変なんだってば。んで、リストラ組がこうして箱詰めされてるの。愛玩用として人気あるんだって。ペットみたいなもんだね。でも大きくなったからって…

#247

雨に濡れた花は翌日、常よりも一層薫るという。よく晴れた星空を眺めながらの散歩道、ふとそんな事を思い出した。それは遠くからも匂い立つ金木犀の香りのせい。甘やかに秋を告げるその香りに思い出した言葉は、かつて隣に並んでいた相手が言っていた。久々…

#246

臆病すぎて、言えない言葉がある。貴方はいつも笑って「伝わってるよ」って言ってくれるけど、ちゃんと自分の言葉で伝えたいのに。恥ずかしくて、胸が苦しくて、愛しくて、言葉に詰まる。でも、いつか言わせてね──「ありがとう」と「大好きよ」って。

#245

なぁに、もう。眠いんだってば。つついて反応見ようとかしないでよ。あなたの相手するより寝ていたいの。昨日遅かったんだから、それくらい察してくれてもいいじゃない。いつも放っておくくせに、こんな時ばかりご機嫌伺い? 仕方のない人。尻尾で手をはたい…

#244

その日の僕の仕事は、妖精を箱詰めにする事だった。時折ギフト包装も混ざって大変。なにより一番大変なのは、箱詰めされる妖精達が大人しくないという事だ。箱や包装紙が破れるのはまだ軽い方、と言っている間にまた脱走発生。虫網持って捕獲しに行かなけり…

#243

ハロウィンの代名詞ともいうべきオバケかぼちゃ、ジャック・オー・ランタン。彼には野望がありました。それは大きくなって自分をバカにした相手を見返す事でした。ある魔女の下働きを経て、とうとうやってきた念願の日。魔法で大きくなったランタンを見て一…

#242

「ねえ、おとうさん。たいふうさんってめがあるんでしょ?」「そうだよ」「じゃあ、そのおめめにめぐすりしてあげたら、もうなかないかなぁ?」「それはまたどうしてだい?」「だって、どらいあいでめがいたいから、えんえんってないちゃうんでしょ?」

#241

焼酎を一瓶買い、ほんの一杯ほど飲んだ後は決まって深煎りした豆をその瓶へと入れる。日を追う毎に豆がゆっくり沈み、段々と珈琲色へと染まっていく。貴方を待って作るこのお酒はもう、いくつめだろうか。ロックグラスへと注げば氷にたゆたう琥珀の海。私は…

#240

「ごめんなさい、珈琲は飲めないの」気怠げで憂鬱そうな、それでいて艶めいた雰囲気を持った女性は、そう言った。その意味を、僕はようやく知る。「貴方って美味しそうね……大丈夫、殺しはしないわ。私の虜にするだけ」張り巡らされた糸。ここは、アトラク=…

#239

陽が翳った、と思ったその瞬間であった。艶やかなる白銀の鎧装束を纏った戦姫は空より一気に降下し、その具足が地を踏むや長柄の先端は光の刃を携えし大鎌と化す。舞うが如く薙ぎ、払い、斬り裂く。静寂を伴い鮮血の絨毯を敷けば、彼女は艶然と笑むのだった…

#238

「このあたしがせっかく淹れてあげた珈琲を飲めないっていうの?」「え、いや……」「じゃあ飲みなさいよ。べ、別にあんたの為に淹れた訳じゃ……」「いや、その……それ、珈琲じゃなくてホットコーラだよ?」「え、ウソ!?」かぁーっと赤くなる彼女が、なんだか…

#237

あの場所で飲んだ珈琲は、どこで飲むよりも泥臭かった。最早それが粉末を溶いた珈琲なのか、沸かした泥水なのかわからないほど、あの時の俺達は泥まみれだった。だが、あの時の安息は何物にも代え難かったはずだ。今この街で飲む珈琲は味がしない。それは、…

#236

「……というわけで人参を筆頭とした野菜、果物は頂いていく」悪く思うなよ、と小柄な強盗が言った。彼の背後ではお仲間がせわしなくロケットに荷造りしている。……ロケット? 「あにきー、用意できたぴょん」「おう、乗り込め」覆面を外してにやりと笑う彼らは…

#235

よく晴れた日はお布団を干して、パンを焼く。少し肌寒い雨の日はショールにくるまって本を読み、ケーキを焼く。曇りはお散歩して蕎麦打ちをする日。台風の日は……気圧のせいか、テンションがどうしようもなく跳ね上がるから、お好み焼きかたこ焼きで晩酌。そ…

#234

血を啜り魂を喰らう妖刀。それを打ち砕くべく鍛えられた一振りの刀。「なあ……妖刀に対抗する刀ってどう呼べばいいんだ」「聖刀?」「語呂が悪い」「神刀?」「語感悪くないか」「剣ならどっちもしっくりくるのにな」「それだー!」こうして刀は剣へと打ち直…