2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

#293

離れてしまってどれくらい経つのだろう。日で月で年で時を数えても時間も距離も埋まらない。今、君は何をしている? せめて幸せでいるだろうか? 今更後悔しても遅いんだって、やっと気付いた。だからせめて──僕は君の笑顔の為に戦うよ。恐れずに立ち向かう…

#292

好きな本がたまたま同じだった彼。無口でちょっと怖いなぁって思うんだけど、それでもお互いに本の貸し借りをするようになった。気が付けば彼から借りた本には同じ栞が挟まっている。同じお店で買ったのかな、とか思ってふと見れば「好きだ」の文字。無口な…

#291

赦されない恋なのだと、始めからわかっていました。請われても応えられず、壊れても思いは捨てられず、恋われても結ばれず。この心の歯痒さ、口惜しさ。献げられ奉じられ、いずれ朽ちゆく身なれども。どうか心と情だけは貴方の傍へと寄り添いましょう。赦さ…

#290

なぜ苦しいって、それは恋をしているからよ。恋は甘いだけじゃダメなの。苦さも併せ持つもの。甘いだけの恋なんて、恋に恋する夢見るお年頃だけよ。現実はそんなに綿菓子のようにいかないもの。でも恋はできるうちにしておきなさいね、後悔しないように。私…

#289

彼女と別れた。その数日後、部屋はなんだか妙にこざっぱりしてた。ああ、彼女の痕跡が消えるとこんなにも隙間があるのか……でも彼女は知らないだろう。消し損ねたものが2つある事に。携帯に残る番号と、俺の中の感情に。先へ進む勇気を指先は求めてる。@hika…

#288

侵食されていく。私が、貴方に侵食されて染められていく。声が、躯が、貴方の望むままに操られていく。それなのに何故。貴方の心はそんなにも伽藍堂なの。瞳は虚ろなの。一瞬でも一時でも。どうか私を映して。どうか私を感じて。虚無の中の原初、私が触れる…

#287

彼女は決まって漆黒の服を纏っていた。装飾品も身につけず、ただ影のようなその色と共に在る。何故その色を選ぶの、と僕は一度だけ訊ねた。彼女は己の気持ちに殉じているからよ、と答えた。彼女の誇らしげでいて気品に満ちたその横顔を、僕は忘れない。幼か…

#286

その悪魔は忙しい日々を送っていた。いくら片付けても仕事は後から山のように降って沸いてくる。こんな世の中に誰がした、と恨み言のひとつでも投げつけたくなるのをぐっと堪え、彼は今日も務めを果たす。間違った宛先のメールを送り主に投げ返す悪魔は、電…

#285

出発の少し前。思い出して、せんぱいに拝借してたお財布を返却。中身がごっそり減ってるけど、気にしないでほしい。だってこれから先に必要なものなんだから。にっこり笑って見せるのは、小さな小さなベルベット地の匣。中身は教えてあげません。まだ秘密な…

#284

栗の炊き込みご飯、鮭と茸のバター焼き、甘藷と林檎のコンポート、和梨のクリームサンド……妻が秋の味覚をバスケットに詰めている。ああ、そうか。もうそんな時期か。魔女の集う宴、ヴァルプルギスの夜。その半年後の10/30はヴァルプルギスの昼、魔女のお茶会…

#283

TLに流れていく文字達を眺めていて、決心した。公開プレイになっちゃうけど、せっかくの決意だもの。無駄にはしたくない。それでリムーブされて縁が切れてしまっても、それはひとつの結果だから。初めてのリプライ。@の後に貴方の名前。そっと添えるのは「…

#282

急に降られた帰り道。雨宿りがてらに借りた軒先で彼女と二人、止まない雨を見ていた。不意に響いた雷鳴に掻き消されてしまうくらい小さな悲鳴を聞き逃さなかったのは、暖を取るように寄り添っていたからか。大丈夫……僕は両手で彼女の耳を塞ぎ、そして口付け…

#281

「これ、コモドドラゴンだよね?」「違うよー、イグアナ系じゃないってば」「え、でもコモドドラゴンって聞いたよ?」「違う違う、幼生だからコドモドラゴンって言うの」

#280

花を持たず、咲かずに熟れる盲目の果実。ひと口囓れば甘美に滴る雫が唇を伝う。飲み干すよう舌を這わせれば、その味わいと香りに思考が霞む。今はただ、酔いしれよう。花無き果実、無花果を手に。

#279

目当ての書架は奥まった場所にある。書籍を取ろうと手を伸ばしたその瞬間。私の腕は引かれ、強い力に抱きすくめられた。後ろから回された腕、首筋にかかる熱い吐息。誰か、と叫ぼうと動いた唇は指に蹂躙された。咥内に感じるのはねっとりとした鉄錆の味。温…

#278

「大きくなったらなにになりたい?」「んーと、およめさん!」「誰のお嫁さんになりたいのかな?」「んーと、あっくん、けいくん、ゆたかくん……」「前はパパって言ってくれたのに。というか何かな、その人数」「ぱぱはままのだもん。んと、ぼーいふれんど!…

#277

ゆうやけいろのかえりみち。さみしそうなこねこと、めがあった。きがついたらだっこして、おうちにかけてった。おかあさんはすててきなさいっておこるけど、もうおともだちだもん。だめなら、いっしょにいえでするもん。がまんくらべは、わたしのかち。いっ…

#276

生まれてこれなかった命はどこへいくの。海へ還るの。天へ還るの。そして、地に還るの。やがて命の灯火はほおずきとなって朱く染まり、闇を照らす。鬼の子が照らす迷い灯り。己と同じ鬼子が迷わぬよう、導くよう灯す。故にこう書くのだ──鬼灯、と。

#275

少女は問う。「忘れ物はありませんか」誰もいなくなった荒野で唯一人、静かに問う。「忘れ物はありませんか」少女の眼前に広がるのは無惨に繰り広げられた戦の跡。「忘れ物はありませんか」少女はもう一度問うと、魂たちをそっと抱き締め……そして旅立った。

#274

「勉強しないの?」「してるよ」「嘘つきね。ずっとゲームしてるじゃない」「だから勉強してるって」「DSで勉強なんて……あ」DSの液晶画面に映っているのは、某試験の過去問題だった。

#273

我輩は土地神である。名前は忘れた。今は訳あって猫の姿をしておるが、それはそれは威厳に満ちた姿をしておったものよ。我輩は今日も町を見守る。……これ、撫でるでない。喉を触るでない、これ! ……にゃぁん……はっ。あやつ、なかなかのてくにしゃんよな……

#272

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「……なんだっけ」「忘れんなよ」

#271

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが返却しに行くか」「お前、延滞料金の総計見たくないだけだろ」

#270

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちがハロウィンの仮装をするか」「じゃんけんと言いつつ、お前がノリノリだろ」

#269

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが銀行強盗するか」「……なあ、まずは考え直せ」

#268

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが月に行くか」「宇宙飛行士もお手軽だな、おい」

#267

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが改造人間になるか」「……正義の味方なら考えてやらん事もない」

#266

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが婚姻届出してくるか」「結婚してねぇし!? その前に俺ら男同士だろうが!!」

#265

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが怒られるか」「お前何してきたんだよ!?」

#264

「じゃーんけーん」「ちょい待ち。これ何決めるじゃんけん?」「どっちが告白するか」「……誰に何を?」