2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

#626

夕方につけたソリッドパフューム(練り香水)が今も淡く薫る。まるで、あなたとの逢瀬の末、別れを惜しむ私みたい、というのはロマンチックすぎるかしらね?

#625

ふと見上げた夜空は朧月夜。薄霏に包まれた月模様が私みたいだね、なんて言ったら、あなたは怒るかな。

#624

紙ヒコーキは、空への憧れ。

#623

鼻唄混じりの竜が楽しげに並べていたのは、血のように紅い柘榴石。そこでようやく僕は思い至る。それは偉大なる父母竜に対する墓標なのだと。このシリーズに番外的に入れておきます

#622

アルコールが入った浮揚感にただただ漂う。何故かその不安定さが心地好いのは恋に似ている気がするのはきっと 、ふわふわ感があなたの腕のを思い出すからかな。

#621

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。風邪に臥せる主の枕元、膝上に猫を載せた乙女がするのは昔語り。寝物語に耳を傾ける様子に乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、こうして本を読むのも幾久しい気がしますね…

#620

大きなぬいぐるみに寄りかかって電話するのは、あなたの背中の代わり。ぬくもりも、硬さも、ないけれど。それでも。あなたを感じていたいから。

#619

哀しいかな、キミは一足先に夢の中。この伸ばしかけた手をどうしてくれようか。数回ほどわきわきさせて考える事しばし。ま、これくらいは許してもらおう。オレもオトコノコなんだし、っと。ふんにゃりとしたキミの寝顔にキスを落とし、そっと腕を忍ばせる。 …

#618

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。主の風邪は小康状態まで回復した。その代わり、なのだろうか。今度は乙女が小さなくしゃみをする。訝しげな主の視線を余所に乙女は無機質な表情を微かに隠した。「……主様、疑問には快…

#617

私を抱き締めて泣くあの子は、幼い娘を亡くしたばかりでした。彼女の娘の為に、と作られ、枕元に置かれていた私。いつもと変わらぬ音しか奏でられないけれど、今しばらく、あの子の為だけに謳う事をどうぞ赦してください。彼女の涙が身体に染み渡り、私は悲…

#616

貴方の為、と言って別れた。弱いのは私。貴方を免罪符にして、貴方を理由にして。ごめんね、私も想いは重荷でしかなかったでしょう。これからはどうか、羽ばたいて。

#615

甘い言葉がキライな彼女の為に、言葉の全てを飲み干してチョコレートのキスをしよう。

#614

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。熱が上がってしまった主は猫と共に寝室に籠もったまま。こんな時だからこそ、と乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、添い寝は猫に譲って我慢しますから、元気になられたら…

#613

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。案の定というべきか、主は発熱し風邪引きの模様。おろおろとするばかりしかない乙女は無機質な表情を微かに曇らせた。「……主様、あれだけ言いましたのに……代わって差し上げられるもの…

#612

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。先日の猫と乱痴気騒ぎが響いたのか、主は発熱気味。それでも執務をこなそうという様子に乙女は無機質な表情を微かに曇らせた。「……主様、ご意志を尊重しますが、少しでも咳込まれたら…

#611

我が家には猫がいる。福猫というやつだ。彼は福を招くという受動的でまどろっこしい事はしない。置いてくれる家の為に自ら福を獲ってくるのだ。だから唐草模様の風呂敷を背負っている。そして彼はお仲間を連れて帰ってきた。こうして我が家の福猫は二匹。今…

#610

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。主の体調管理には人一倍気を遣っているが、書斎から聞こえてきた咳き込み。慌てて駆け込めば、そこは猫と乱闘騒ぎの後。主と猫を叱りつけた乙女は無機質な表情を微かに顰めた。「……主…

#609

ここ最近、ご主人の帰りが遅い。暗く寒い部屋で一人待つのいうのは実に侘びしい。帰ってきたら帰ってきたで食事も風呂もそこそこに寝てしまう。そして早朝にまた出掛けて行く。……怪しい。伊達に長年連れ添っていないのだ。 #twnovel これは彼女との結婚が近…

#608

ホットミルクを飲みながらチョコをかじる。目の前に座る兄さんはミルクでなくブラックコーヒーにチョコ。わたしも飲みたいって言ったのに、まだ早いよって飲ませてくれない。砂糖もミルクも入れないでコーヒーが飲めるようになったら、兄さんはわたしの事ち…

#607

温かく白濁したものに身を委ねる。肌に絡むそれは躯の芯から私を暖めてくれるよう。疲れた肢体に染み渡り、のぼせたような感覚に襲われれば私は躯を起こし、柔らかな布で拭い去った。「はぁ〜、寒い日はやっぱり温泉の素だわぁ。にごり湯は美人の湯多いし、…

#606

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。雪が続けば冷え込みも続くもの。水仕事を終え両手にほぅと息を吹きかけていれば、その手を主に取られた乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、私は寒さも冷たさも感じません…

#605

最近は便利よね。必要な情報のほとんどウェブから引き出せてしまう。買い物だって、振り込みや払い込みだって、なんだって。便利は便利だけど、それでもやっぱり色恋沙汰だけはダメね。文字だけじゃ伝わらない。顔を見て、声を聞いて、肌に触れて。古くから…

#604

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。朝からの雨はいつの間にか雪になっていた。寒さに耐えつつ窓を開け放ち胸元から取り出すのは小さな眼鏡。不思議そうな主に乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、雪の結晶を…

#603

botの振りしてあなたに話しかける。バレないように相手を問わず、たくさん呟いてリプライしていく。だってこうでもしなきゃ話しかけられない。そんな時に届いたDMの差出人はあなた。……初めからわかってたなんて、ズルイ。私はいつもあなたの掌の上で踊らされ…

#602

幼馴染みのあいつと一つ約束をした。成人式を迎える日、お互いにフリーだったら付き合おう、と。あたしはなんだか落ち着かない気持ちで振袖に身を包んだ。スーツ姿のあいつは見違えるくらい格好よくて。そして眩しい笑顔で言うんだ。「よう、俺と付き合えよ…

#601

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。新たな年は到来し、屋敷に常の活気が戻る。それなのに何故か嘆息する主に乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、時は終わってしまいましたけれど、また作ればいいのです。………

#600

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。主の晩酌に呼ばれてしまったが、何とか断りの文言を捻り出す。主は憮然としていたが乙女は無機質な表情を微かにしかめた。「……主様、また私が倒れて、あられもない事を言っても責任を…

#599

女を彩るものは、皆みんな戦いの為。少しでも印象を良くする為のメイクは戦化粧。愛されモテ服ではなく自分によく似合う服とヒールは戦装束。それもこれも、あなたを射止める為。きりりと引き絞った弓矢でよーく狙いを定めて勇気を振り絞ろう。番号とメアド…

#598

遠い遠い未来の出来事。メディアはすべて電子化し、紙を作り出す技術は失われ、それらは骨董と成り果てた。ひと財産が眠る場所として知られる図書館。盗掘を狙う者が後を絶えないが、そこを守る者達は人知れず存在していた。書籍保存特殊委員会──通称、イク…

#597

暗くて、冷たくて。いくら毛布を重ねても寒い夜は一人心細く眠る病気の夜。こんな時ほど思考がダメになる。あなたに支配される。着込んだパジャマがあなたの肌ならいいのに。くるまる毛布があなたの腕ならいいのに。抱きしめた枕があなたならいいのに。早く…