2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

#577

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。クリスマスボックスが配られれば仕事は終わり、休暇に入る。ボックスをついぞ受け取らなかった事を主は訊ねるが乙女は無機質な表情を微かに笑んで見せた。「……主様、貴方のお世話を誰…

#576

私が手酌で飲むのを貴方はあまりいい顔しないけど、これって貴方の為でもあったのよ。私のグラスが空くペースに合わせて飲んで互いにお酌してたら貴方が潰れちゃうでしょ。そんな遣り取りさえも懐かしい。独り手酌酒をしながら思い出すのは貴方の事。……電話…

#575

祭りの喧噪が駆け抜けた後は静かなものだ。イベントで誕生したカップルもさぞかし多いだろう。「北北西の風、風速風向き共に良し」熱に浮かされた恋人達の本当の試練はここから始まる。「総員、黒矢番え……構え。撃てぇーっ!!」降り注ぐキューピッドの矢は…

#574

あなた恋しと奏でる恋の歌。遠くそれを聞く私は窓を開け、愛猫を出してやる。

#573

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。ほとんどの者がミサへ出掛けた屋敷の留守を守るべく残っていた乙女の手を引き、主は暖炉の前へ。揺らぐ炎を見つめる乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、時が止まればと願…

#572

今日約束が流れたとしても別段いつもと同じよ。貴方と私じゃ忙しい時期のサイクルが違うんだもの。お互いドタキャンはある種当たり前になりすぎていたから。だから今夜も平気。平気なんだったら……ごめん、嘘。本当は寂しい。誕生日だから。生まれてきてくれ…

#571

「私、溶けてなくなるのかな」「いなくなるなら僕も一緒だ」「ダメ。貴方がいなくなってしまう方が私は哀しいよ」「でも」 #twnovel 「聖夜に恋人達がそんな顔をするものではないよ。メリークリスマス。君達に祝福を」雪の精と青年に祝福を与えた者が落とし…

#570

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。アドヴェントカレンダーはもう残り僅か。今年もクリスマスがやってくる。主が用意するクリスマスボックスは公然の秘密だ。屋敷の様子に乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様…

#569

クリスマスでも一緒にいられない遠距離恋愛な私達。でもせめて一緒の時間を過ごしたいと思ってウェブ飲みを始めた。画面越しに乾杯して、近況を報告し合ったり、他愛のない話をしたり。いつしか、その輪は広がっていた。見知らぬウェブの友人達と酌み交わす…

#568

遊びに行ったら友達とはぐれた挙げ句、迷子になってしまった。情けなくて泣きそうになった時、助けてくれた人がいた。その人はご飯をくれて、怪我の手当てをしてくれて、乗り物も修理してくれた。でも何故だろう眠くなってきた……目が醒めれば手術台の上。騙…

#567

さんたさん、みうのおねがいをきいてください。ぷれぜんとはいらないからぱぱにあいたいです。ぱぱはおしごとでとおいとこにいて、ずっとあってません。ままもさみしいです。だからさんたさん、みうのおねがいきいてください。 #twnovel くりすますのひ、お…

#566

ほんの少し、隙を見せただけなのに。私の心は貴方に蝕まれていく。落とすはずが、堕ちていく。

#565

無我夢中で追った幸せの鳥。翼を休める為に枝に止まろうとしたところを駆け寄った。「つっかまえたぁーっ」鳥はびっくりして飛び立つのも忘れたみたいに、あたしの腕の中に収まった。「は、はぅ……これは確かに幸せ……」ふこふことした羽毛に包まれた丸っこい…

#564

「どーせ私なんて、食べられるか棄てられるかされてお終いなんだわ。人生なんて儚いものよね」「あなたはまだいいじゃない。私はどんどん規模縮小化されてるのよ。それもこれも活字離れとかで」「どーせ私なんか……」「あなたね、人の話聞いてる?」ド根性大…

#563

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。ふかふかのタオルを持ち浴室に向かえば、主が勢いよく飛び出して来た。聞けばバスタブの中身のせいだと言うが乙女は乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、柑橘類がダメとは…

#562

大好きなあなた。あなたを殺していいですか。あなたの血がないと、わたしはクリスマスにお仕事ができないの。あの仕事着を赤くできないの。あなたを殺していいですか。大好きなあなた。

#561

「──次」真紅のボンテージに身を包んだ女は無感情に呟けば、鞭を軽やかに翻す。しなやかなそれに身を打たれた男は猛る獣へと変化していった。もう一度鞭が風を切るや、獣は空を翔け出すのだ。「さあ、貴方の番ね」クリスマスのバイトがどうしてトナカイにさ…

#560

にゃにゃんとさんたの朝は早い。隙間を閉じずに寝床から抜け出し、毛繕いをして朝食。腹ごなしの爪研ぎ後にご町内のパトロールへ。このパトロール中にプレゼントのリサーチを行うのが特徴だ。そしてにゃにゃんとさんたが最も輝くクリスマス。そこには電飾で…

#559

にゃんたくろーすですにゃ。赤い服着たイケてるあんちくしょうですにゃ。とにゃかいがストライキを起こしたので、クリスマスに働けるバイトさんを募集してますのにゃ。条件は簡単にゃのになかなか集まらにゃくて困ってますにゃ。にゃーの通れる道を一緒に通…

#558

にゃにゃん! ねこサンタですにゃ。クリスマスも近くて忙しい日々を送っておりますにゃ。今日はプレゼントの梱包作業で大わらわ。人気は鮮魚、マタタビ、炬燵などなど。誘惑が多くて大変ですにゃ。え、この後ろの魚の骨はにゃにかって? こ、細かい事を気に…

#557

この季節は嫌になっちゃう。体は思うように動かないし、寒いし、眠たくなるし。四季を繋ぐ為に必要だってわかっているわ、そんなの。でもね、文句のひとつやふたつやみっつくらい言いたくなるの。わかる、私のこの気持ち? 私を春を待っている人は多いのよ。…

#556

貴方の手。大きくてごつごつしてて、節くれだってて。少しだけざらついている、その手でいつも私を守ってくれていた。貴方の指。私に触れる時はどうしてあんなにも優しい、その指先で引き金を引く。ずっと守られていた。貴方という存在に。私は篭の中の鳥で…

#555

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。もし仮に。戦いに巻き込まれる事があったなら、と主の問いに乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、貴方が望まれますままに。貴方の剣に、盾に、矛に私はなりましょう。如何…

#554

酒で身体を壊すもなんとか入院は免れた。通院でどうにかなると知れば、それまで怯えるように節制していたタガが外れる。忘年会シーズンも手伝って何軒もハシゴした後の記憶がない。気が付いたら病院のベッドの上だった。痛飲で通院加療をフイにしましたね、…

#553

彼を殺したの。心だけを壊して殺したの。身体はまだ、生かしておいてあげる。

#552

恋愛なんて賭け事と一緒よ。相手の気持ちを得る為に一喜一憂して、あの手この手を使う。勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。ほら、一緒でしょ? 違うのはベッドするのはお金ではなく自分自身と気持ち、ってとこかしらね。私に真剣勝負で挑みたいならヘタな嘘は…

#551

男女間でだって友情は成立する。あたしはそれを、あいつと出会って知った。性差を超えてむしろ一番の友人、親友と呼べるくらいだ。でもそれが崩れてしまうのも早い。抱いた感情が友情から愛情に変わった時、あたしは一週間だけ気持ちに猶予を与えた。まるで…

#550

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。寒い夜の密かな楽しみといえば暖かなミルク。ほっとひと息つけば後ろから伸びた手が遠慮なくそれを攫っていく様子に乙女は無機質な表情を微かに歪めた。「……主様、子供っぽくて嫌いで…

#549

眼下に広がる広大なる不夜城都市。眠らない街は異形の棲まう場所であり、異能が集う場所でもあった。そんな中を颯爽と歩く男が一人。「さて。主様は何故私を御用向きに出されたのやら。確かに『彼女』より私向きではあるのでしょうが」微かな笑みを浮かべた…

#548

鋼鉄の乙女は今日も規律正しく折り目良く礼儀作法に則って仕事をこなす。寒空に相応しい程に冴えわたる星空を視界におさめ、乙女は無機質な表情を微かに綻ばせた。「……主様、幾億もの彼方の星の輝きが今に届いているのだとしたら、これに勝るアンティークは…