#297

彼女は強くて不遜で傲慢で強気で強運にして兇運の持ち主だった。男に頼る事も権力に媚びる事もせず、ただひたすらに我が道を征く。いつも不敵で自信に満ち溢れた笑みを紅唇に浮かべている。だからあれは完全に不意打ちだった。彼女が一人静かに涙を流していたのを目撃するなんて。