#310

きぃん、と短い耳鳴り。耳を押さえるように少しだけ目を瞑れば、次の瞬間。あたしの体は宙へと投げ出された。見知らぬ景色、見知らぬ空気、空には双子月。喉を灼くような熱気。肌を刺す日差し。体中の水分が奪われていく。倒れたくないと思うのに、意志とは裏腹に視界が傾いだ。