#736

「昔々、さる国ではたった数百人で数万もの軍勢に立ち向かった、勇敢な者達がいたそうだ。今宵の私はそれにあやかるとしようか」男は己を取り囲む異形らを一瞥すればそう嘯き、白手袋の具合を確かめた。こちらは単騎、あちらは百にも満たず、といった所か。鋼鉄の執事は薄く笑った。