#785

夢を見た。愛しいあの人と過ごした僅かな時の、あの夢を。むせかえるように匂い立つ花が咲く庭に、月下。散る事なく漂う香りに酔ったのだろうか。もう朧げなはずの、あなたの顔。夢の中でなら鮮明に思い出せる。これは花が見せた夢。月が魅せた浅き夢の残り香。

浅き夢見し 酔ひもせず