DDS×DMC

#511

よし、と交渉に踏み切れば思わぬ言葉が返ってきた。「最初からこの躯目当てだったのね……いいわ。私の火照り、沈めてくれる?」決裂かと思いきや、か?「貴方を引き裂いてその血で満たして……腐り果てるまで愛してあげるわ」やれやれ。これだから月の紅い夜は…

#328

約束。それは定めた決め事を束ねたもの。違えてはならないもの。それをより綿密に、そしてビジネスライクにしたものが契約と言えるだろうか。「御託はいいんだが。それより契約する気あるの、お宅?」ここからがいいところだというに。空気を読まんか。「悪…

#167

「悪魔でも愛してくれる?」無邪気に笑いながら悪魔は問う。「悪魔でも愛してくれると思う?」独りきりの少年は、逆に訊ねてみた。悪魔が愛を要求するならば、悪魔に要求する事もできるんじゃないか、と。「んー、それは相性次第じゃない?」「だったら一緒…

#159

「悪魔でも」「あれ、出だしちょっと違う?」「愛してくれる?」悪魔はそう問うたが、相手は如何せん幼い少女だった。少し考える素振りを見せるも。「やだ」即答。「だってボーイフレンドはたくさんいるもの。悪魔のおにーさんにひっかかるほど困ってないの…

#144

「悪魔は嘘をつく?」「人間の方が欲まみれで嘘つきだろ」

#143

「悪魔を」「もういい、その台詞聞き飽きたのよ」「うっわ、なにこの倦怠期のカップルだか夫婦みたいな会話」「あんたと恋人にも夫婦にもなった覚えはないから」「じゃあ、なってみる?」鈍い撃鉄が起こされる音。彼女は冷たく笑う。「悪魔は間に合ってるの…

#133

「あく……」「うっさい黙れ大人しくしてろ俺は不機嫌なんだ」一息に捲し立てた男の顔を悪魔は見上げ、そして覗き込んだ。「ご機嫌斜めね、何かあった?」「俺、この稼業不向きなんだよ。不可抗力でなっちまったけどさ」「呑みにでも、行く?」世の中の世知辛…

#132

「悪魔を」「お黙り」鋭く翻り地を打つのは鞭。「……女王様?」「なぁに、気安いわよ」「ちょっと待ってよ、キャラ丸被りじゃない!」「あら、それはアナタに女王の品格が備わっていないだけではなくて?」女の紅唇が嘲笑うように弧を描く。「言ったわね……後…

#125

「悪魔を──」「……平気な訳ないじゃない」「意外だな。人間にもそんな事言う奴がいるとは」少女は銃を下ろし、その細い肩を震わせた。「どんな命だって、奪うのは怖いわよ……!」悪魔は僅か逡巡した後、そっと手を伸ばし頭を撫でてやる。「悪かった……一緒にい…

#104

「悪魔をこ」「まあまあ、そんな話よりももっといい話をしようじゃないか。幸い今夜は朔の夜。君だって今夜くらいは脆弱な人間の言葉に耳を傾けようって大らかな気持ちにもなるだろう? いい話って言うのは他でもない。君と俺の事なんだ。俺には一目でわかっ…

#103

「悪魔をこ……」響くのは乾いた銃声。「って、あぶねーな! つか最後まで言わせろ!?」「うるさいわね! 悪魔も人間も嫌いなのよ!」捲し立てるようにフルオートで乱射される銃弾。狙いは甘いのか、致命傷にも至らない。「……なんか」「へ?」「……男なんかぁ…

#102

「あくまをころしてへいきなの」舌っ足らずの悪魔はそうのたまった。幼い少女の姿、白いケープコート。どこからどう見ても悪魔にも脅威にも見えない。「しんじてないなら、こうしてあげる!」やおら振りかぶったかと思えば、コケた。ぷるぷる泣き出したそい…

#101

「人間を斃したらいけないなんて、誰が言ったの?」美貌の悪魔が嘯く。「同じ事さ。悪魔を斃してはいけないと、誰が言った?」俺は長剣の柄を握り直し、嗤った。「なら踊りましょう? 最後の一人が息絶えるその日まで」悪魔の指先に雷光が宿ると同時、地を蹴…